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うちの法人の理事をしている親御さんたちは、施設の経営が苦しいときは、場合によっては利用者の作業工賃を下げることもありうると、経営者の私に悪いと思って言われますが、私は60歳で始めたことならデイサービス的にやるということも仕方ないと思うけれども、まだしばらくは授産で頑張りたいといっているわけです。
はやく皆さんが安心できるところまで行きたいと思いますが、そういう面ではこちらの魚の養殖などはうらやましくて仕方がありませんね、話に聞くと3万円くらいの作業工賃を払えるレベルとのことですから、うちが今、よく出来る人で2万5千円が2人、1万5千円が1人、1万円が2人、あとはそれ以下ですから、平均では1万円いっていないのです。
今の倍ぐらいのレベルに行くことが当面の目標です。
しかし、心からそれをやろうとしているのはまだ、私ぐらいだと思いますし、先ほど言ったように、必ずしも親御さんがそれを望んでいるわけでもありません。
しかし、仕事が出来ようと出来まいと本人達の多くは収入アップを心から望んでいます。
作業所から小規模通所授産施設になって、保護者負担金もなくなり、本人達がもらう作業工賃もほとんどの人が大幅に増え、目を見張るほどにみんなの仕事に対する姿勢が良くなりました。
あまり、人前で話をしなかった人が自信が付いたのかよく話をするようになりましたし、休みがちだった人がよく来るようになりました。
彼らの期待を裏切らないようにすることが今の私の使命です。
去年一年間の全員の出勤日数を、3月末に行った花見の席で発表して、ささやかな表彰プレゼントを上位3人に渡したところ、翌日苦情が来ました。
ある利用者が出勤してくるなり、「順番をつけて不公平か、ぼくも一生懸命がんばっとっとに」といってきました。
よく聞くと、お母さんが「馬場先生は間違ってる。」といったというので、その利用者がいるところで、すぐそのお母さんに電話しまして、私の考えを伝えました。
お母さんの考えが正しいといえば正しいのかもしれません。
「みんな障害を持っているのに一生懸命やっているのだから、なにも全員の順位をつけるようなことをしなくてもいいではないか、うちの子みたいにひがむ子もいるのだから注意して欲しい。」というわけです。
しかし、私は出勤日数のことは一人一人が正しく知って自分で、あるいは家族で判断するべきものでしょうといいましたし、上位3名を表彰したのは当然と思います。
それは、1日も欠勤しなくても不真面目な人はよくないし、年間40日しか来れなかった人でも、お母さんに言わせれば、「こんなに来とったとねー、よくがんばったたねー。」という人もいました。
今年は全員に昇給させることが出来なかったのでせめてもと思い、花見の席で表彰したことが思わぬ波紋を呼んだのですが、こういうことが多くあるということは、本人達が成長しているのと同時に、その家族や施設にとってもかけがえのない財産とも言っていい経験です。
知的障害のある人が普通の生活、つまり地域社会で普通の暮らしをしようと思えば、本人にも周囲の人にも大変な試練があります。
実は、今日私の娘はH学園に日帰りショートステイで預ってもらっていますが、支援費制度になって、従来より確かに利用しやすくなりました。
家内がちょうどハウステンボスに日帰り招待旅行だったので、小さい頃から毎年よく利用しているH学園に預けることにして、私がこちらへ来ることが出来たわけです。
前は、まずH学園に打診してOKをもらったそのあとで、長崎市を通じて私たちが県知事様に申請して、行って帰ってきた頃に承諾書が県から送ってきていましたから、そのたびごとにナンセンスだな〜と思っていました。
その娘が今ちょうど現場実習の期間中で、諫早のKの里に先週から行っているのですが、案の定いろいろ問題を起こしています。
まず、下見の日、よせばいいのに路線バスでやらせたいと担任の先生が頑張って、一緒にバスに乗っていったのですが、さっそくおばあちゃんの頭をしたたかたたいてしまいました。
先生もすぐ止めようとしたのですが勢いはとまらず、さらに前にいた運転手さんまでたたいたそうです。
小学校のころ本校までの路線バスの中で傘でともだちをたたいたりしたものですから、とうとう親が毎日自家用車で送り迎えしましたし、高等部に行くときも本人も家から通いたいと、ずいぶんK高等養護学校に行きたいと頑張ったのですが、どうしても現川駅から喜々津駅までの汽車通学が無理だということでN養護学校を選択したくらいなので、私としてはまだ無理だと分かっていたのですが、N養護学校の先生は本当に一生懸命本人を伸ばそうとしてくれていますので何も言えず、ありがたいやら心配やらといったところです。
その事件のあとで、その担任の先生は同学年の先生達を集めて、私の娘の現場実習を路線バスを使って校外で何とかできるようにしてやりたいと涙ながらに訴えられたそうです。
よそのクラスの先生は自分のクラスの生徒がかわいいでしょうし、たたかれたら腹も立ちますから、ずいぶん慎重に職員会議がなされたのでしょう。
私もその話をきいて、わざわざ、1人の子の実習の仕方のために職員会議まで開いてくれた担任の先生に頭が下がる思いがして、こっちも一生懸命に出来ることを頑張らなくてはと思うのですが、本人はどうもそんなに重く考えていないようです。
また、先週ともだちをたたいたかと思うと、今週はバス停で隣のK中の生徒まで傘でたたいて、高等部の主だった先生方があちこち謝って回ったそうです
親のくせに他人事のように、今は言っているわけですがそのたびごとに夫婦してあちこち謝って回っているわけです。
ちょっと、娘にかわって言い訳をするならば、原因はこういうことだと思います。
N養護学校の寮で夜12時ごろ、蚊がいたので寮の先生に眠れないと訴えたのですが、先生から、大丈夫いないから早く寝なさいといわれるだけで相手にしてもらえず、明け方までかに刺されながらよく寝れずにいて、朝起きるなり機嫌が悪かったのです。
実際には蚊ではなくてダニかなにかのアレルギーなのではないかと思うのですが、とにかく本人にしてみれば蚊に咬まれて痒いわけです。
翌朝、実習にも行きたくないというし、昨夜の腹いせに食堂の味噌汁も女子棟にならべてあったお碗をダーっとひっくりかえし、注意されるとそれだけでは足らずに、今度は男子棟に行ってまた並べてあったお碗を全部ひっくり返して、そのあと、学校の前のバス停で先生とバスを待っているときに隣の中学校の子をガツンとやっているわけです。
いつも自分より弱そうな人にあたっていまして、自分より強そうな人にはあたりませんよね、問題行動は数え上げればきりがありませんが、突然走っていって赤ちゃんを抱え上げて落としたり、スーパーで前にいたおばあちゃんのあたまをひどくたたいたりして、警察沙汰になったこともありますが、そのたびごとに解決してきました。
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