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うちが作業所から小規模通所授産施設になって、給料が4000円から1万円になったら姿勢がガラッと変りました。
がんばれば給料が上がるということが良く分かったのでしょう、よく働くし、よくしゃべります。
今お話した、バスで痴漢と間違われた子とお酒が嫌いな子と年金をもらえずにいる子とは、その後、私との信頼関係が深まって、今年の2月には手をつなぐ育成会の小規模作業所の九州大会に鹿児島まで2泊3日で一緒に行って来ましたが、私と合計4人、ワゴン車でとても楽しい旅でした。
そのとき、知的障害者すべてに障害者年金を出して欲しいという要望が全国の本人部会から出ているという話を聞いて、先ほどお話した年金をもらえずにいる子が、うちでのミーティングでも一生懸命、皆に訴えていました。
私も、その話をいろいろなところでしていこうと励ましています。
それから、精神病院にお世話になった子と痴漢に間違われた子とは去年別府であった大会には泊りがけで行って、砂風呂に入ったりしました。
しょっちゅうあっちに行き、こっちに行きしているのですが、先週は台風の次の日、ボランティアの私の友人の運転するレンタカーと私のワゴン車2台に分乗して口之津にイルカウォッチングに行ってきました。
最近、利用者同士で折り合いが悪くて、「あいつがいると思うとコリアンダーの家に行きたいけど行けない」といっている人も、ぼくは動物が好きだからと参加したりして、わいわいがやがやたのしいドライブでした。
うちに通っている人は、何にでも自分の意志で参加したり参加しなかったりすることが出来ます。
施設に通うか通わないか、明日行くのも行かないのも自由ですが、しかし、自由を享受するには努力も必要です。
今週、こんなことがありました。
みんなでハーブの入浴剤やハーブのお塩などの製品を手分けして作っていたときに自閉症の子がもう一人の利用者に「何々君52歳」「何々君52歳」と延々と何回も何回も言ったり、その子のことをあだ名をつけてまた延々と何回も何回もいうものですから、とうとう言われたほうが頭にきて「だまれ!だまれ!いうな!」とどなりました。
実は言われたほうの利用者にも問題がありまして、先ほどいった「あいつがいるから行けない」と2人の利用者から言われているくらい、普段からわがままでいつも自分のことは棚に上げて人のことを悪く言う、嫌われるタイプの、いいかえれば芸術家タイプの人なのですが、この2人は前からどうもほうっておけないほどぶつかる関係でしたので注意していました。
自閉症の人にそれをいうなといっても、今日言って今日治るわけでもないので、みんなに聞き流したり、適当に応対するように言って他の人は今ではちっとも気にならなくなって問題ないのですが、芸術家タイプのその子だけはどうしても我慢ならないのです。
いつだったか芸術家タイプの子がたまりかねておこったら、それに反応してその自閉症の子が相手の頭をひどくたたいてしまいました。
たたかれた芸術家タイプの子の頭には機械が埋め込まれてありますので私は心配しましたがたいしたことがなくてほっとしました。
そんなことがあって、芸術家タイプの子の家に行ってその子の親御さんと相談してこういうふうにその子と約束しました。
「コリアンダーの家では皆となかよく出来ない人は通ってくることはできないんだよ。だから、あしたからみんなとなかよくできるなら通ってきていいよ、それができないならあしたからこなくていいよ。」と。
以前から、なにかあったら、よく家にわたしが送って帰したことがあるのですが、生命に危険が及ぶように感じられたのはこのときが初めてだったのでお母さんにもじっくり話して落ち着いた精神状態で通えるようになってから通所してもらうように頼んだところ、おかあさんが実はと言い出されまして、聞いたら、最近いもうとさんのことやらなにやらでいろいろあって家庭でも荒れていたんだといわれました。
それがきっかけで精神科に相談に行かれて本人もここのところ落ち着くようになったので今週からまたいつも通りに通えるようになっていたのですが、また「だまれ!だまれ!」と怒鳴り、注意されればふてくされて八つ当たりしたりしたわけです。
職員なら自閉症の子のそういうコミュニケーションの仕方には喜んで応えるわけですが、芸術家タイプの子にそれが出来るわけがないので、今のところはなるべく2人を直接当たらないようにしています。
ただその2人のその後の姿を見ていると涙が出るくらいお互いのことを心配したり、気にかけたりしているのです。
自閉症の子はあまり言葉がないのですが、たとえば芸術家タイプの子がカッターを冗談で自分の首にあてて自殺する真似をしたら、心から心配してかわいそうな顔をするわけですね、かれは怒鳴られようとその子がやはり大好きで、芸術家タイプの子もやはりコリアンダーの家が好きなので叱られても、「もっとやさしくしてくれればいいとに」といいながらも通ってくるわけです。
2人ともK高等養護学校の卒業生なのですが、お母さんの話ではどうも最初は行くところがなくて、うちしか受け入れてくれるところがなくてうちに来たようです。
そんなトラブルともいえないようなことがあったあとに2人の子のお母さんが相談されて、直接いろいろ対策を考えられたようですが、上手い考えが浮かぶわけでもなく自閉症の子のお母さんが私に電話してこられたので、私はこう答えました。
「お母さん、私は自閉症の我が子のおかげでお宅のお子さんのような子を受け入れようと思ってこの仕事を始めたのですから、迷惑をかけているとか思わないで下さい。そんなことを思うようだったらこの仕事をする意味がないですから。」と。
これはどこの福祉施設でも同じだと思います。
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